コラム

第19回 『便秘』について

こんにちは!ヒロマリです。
今回は『便秘』について中医学の観点からお話ししたいと思います♪

『便秘』は誰もが一度ならず何度も経験したことがある症状だと思います。中には一度もなったことが無い!もしくは下痢に悩んでいる人もいらっしゃるかもしれませんが、『便秘』で西洋薬(一般的な医療用医薬品、合成されたもので単一成分で作られている)を飲んでいるけど効きすぎたり、癖になっているなど悩んでいる人は多いと思います。

『便秘』とは何日も排便がない、便が固く乾燥して排便が困難、あるいは便意はあるがなかなか排出できないなどの症状です。食事をすると食べた物は胃に入り、脾胃の運化機能(消化吸収機能)によって栄養を吸収し、残りかすは大腸に送られ、大便として排出されます。

『便秘』の原因は様々ですが、大腸の働きが悪くなることに関連していて、特に脾胃、腎臓との関係が非常に密接です。
それでは、原因・症状、おすすめの漢方薬、養生の方法についてタイプ別にみていきましょう♪

(1)「熱がこもる」タイプ
お酒を飲み過ぎたり、辛い濃い味のものを食べ過ぎると胃腸に熱がこもって、津液(体液と血液)を損傷し腸の潤いがなくなることにより便が乾燥して固い、尿の色が濃い、口が渇く、舌が赤い、舌苔が黄色、脈滑数などの症状が現れます。
このタイプの便秘の人は食生活を見直し、余分な熱を冷まして腸を潤す漢方薬 “麻子仁丸(ましにんがん)”がおすすめです。

(2)「気が滞る」タイプ
考えすぎたり、イライラしたり、長時間座ってあまり動かないと気が滞って、便意があるけど排出できない、ゲップが多い、お腹が張る、食欲減退、舌苔薄膩、脈弦などの症状が現れます。
このタイプの便秘の人は適度に体を動かしてストレスを上手に発散し、腸の気の流れをスムーズにする漢方薬“加味逍遙散(かみしょうようさん)”“大柴胡湯(だいさいことう)”がおすすめです。“大柴胡湯”は体力があって脇腹からみぞおちにかけて苦しい人に、イライラや精神不安が強い人には“柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)”が、のぼせがあって体力がある人には“桃核承気湯(とうかくじょうきとう)”が適しています。

(3)「気や血が足りない(気虚、血虚)」タイプ
過度な労働による疲労などで気が不足すると大腸の働きが失われ、便意があっても排出できない、顔色が蒼白く、トイレ後に疲れる、舌の色が淡い、苔は薄く、脈が虚などの症状(気虚)が、また産後や生理後、加齢などで血が不足すると津液が少なくなり腸の潤いがなくなることにより便がコロコロ乾燥し、顔色に艶が無くなり、動悸、めまい、舌が淡い、脈細渋などの症状(血虚)が現れます。
このタイプの便秘の人は、疲れた時はしっかり休んで、気や血を補う漢方薬“黄耆湯(おうぎとう)”“潤腸湯(じゅんちょうとう)”“増液承気湯(ぞうえきじょうきとう)”がおすすめです。

(4)「陽気不足」タイプ
虚弱体質や疲労、加齢、病後などで体を温める“陽気”が不足し、胃腸が冷えて働きが低下すると便が出にくくなる、尿が薄く多い、顔色が白い、手足・腰部・腹部が冷える、寒がり、舌が淡い、苔が白、脈沈遅などの症状が現れます。
このタイプの便秘の人は、冷たい食べ物や飲み物は避け、体を温め、漢方薬“済川煎(さいせんせん)”“大建中湯(だいけんちゅうとう)”がおすすめです。病院では医療用医薬品であるエキス剤の“大建中湯”がよく処方されます。
 *エキス剤:生薬を煎じて抽出したあと、顆粒や粉末に加工したもの。

その他、便が固すぎて痔になった人には“乙字湯(おつじとう)”、お腹がぽっこりしていて暴飲暴食しがちでダイエットしたい人には“防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)”がおすすめです。

個人の体質や“証”よって選ぶ漢方薬も変わってきますので、かかりつけの医師や薬剤師に相談して下さいね♡とはいえ薬に頼る前に、基本は食生活と睡眠、適度な運動などの生活習慣を見直すことから始めましょう。

今月も最後までお読みいただきありがとうございます。また来月お楽しみに!!


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